心理カウンセリングの相談内容について
最近、心理カウンセリングの需要が高まっている。
今年度から公認心理師という国家資格が誕生し、既に医療、福祉、教育、企業、様々な場所で活躍を始めている。
もともと臨床心理士を筆頭に心理に関わる資格はいくつも存在していたが、国家資格ではなかった。
様々な場面で心の問題が取り上げられるようになり、ようやくその必要性が社会全体に認められ始めたところだろう。
一方で、世間一般に馴染んでいるかと問われると、まだまだ距離があるように思われる。
カウンセリングを受ける人は、うつ病や統合失調症、発達障害、パニック障害、不安障害、、、心の病気になっている人、というイメージを持たれているかもしれない。
実際にそういった診断に当てはまる人が、心療内科や精神科を受診されることが多い。
ではそれらに当てはまらないという人は、カウンセリングとは無関係なのだろうか?
カウンセリングはどういう時に利用したらいいのだろうか?
結論から言えば、カウンセリングはどんな人でも受けられる。
極端な話、悩んだり、困ったりしていなくても、本人の何らかの動機さえあれば誰でも受けることができる。
(ただし、病院やクリニックは医療であるので、ただカウンセリングを受けたいだけでは受けられない。実際に受けてみたいと言う人は、心理相談室など心理士がいて、カウンセリングをメインで行なっているところに行くのが良い)
では、実際にカウンセリングでの相談内容はどんなものがあるのか。
1、人間関係の悩み
家族との関係、恋人との関係、友人との関係、職場の同僚との関係等、人との関わりにおいて生じる悩み。
例)
- 母親(もしくは父親)が怖く、話すのも緊張してしまう。
- 兄弟のことをどうしても好きになれない。イライラしてしまう。
- 恋人に対して束縛してしまう。嫉妬心が抑えられない。
- 友人関係をうまく作ることができない。
- 苦手な同僚がいるが、関わり方がわからない。
人間関係での悩みのほんの一例である。
ここに当てはまらなくても、人間関係において何かしらのストレスは誰しも経験したことはあるだろう。
こういった内容の愚痴を聞いたり話したりしたことがある人がほとんどではないだろうか。
カウンセリングでもそんな話題はいくらでも上がる。
2、環境の悩み
家庭、学校、会社、その他集団、、、その場によって生じる悩み。
例)
- 母子家庭(または父子家庭)で、特に親との関係が悪いわけではないが、モヤモヤすることがある。
- 家庭に経済的な余裕がなく、焦りがある。
- イジメにあっている。
- 何となく学校が合わないと感じている。
- パワハラやセクハラにあっているが、相談できるところがない。
人間関係とも取れるが、環境の影響によるところが大きいと思われるので、分けて捉えてみた。
個人の力だけではどうにもできない状況もある。
解決できそうもない苦しみに思われて、時に絶望したり、諦めざるを得ない気分になる。
話したところで解決できないだろうと思える。
実際、投げやりな状態で相談される人もいる。
僕自身どうすればいいのか分からない気持ちになることもある。
しかし、とにかく考えるしかない。
そんな途方にくれる様なことだって、カウンセリングで話しても良いのだ。
3、個人の悩み
気分、行動、考え方、能力、身体的、、、個人的なことで生じる悩み。
例)
- 気分の浮き沈みが激しい。
- 涙が止まらない時がある。
- 不意にくる焦燥感や不安感。
- どうしてもやめられない行動がある。
- リストカットをする。
- いつもネガティブに考える。
- 自分が他の人より劣っていると思う。
- コミュニケーションがうまくできない。
- 勉強ができない。集中力がない。
- いつもミスや忘れ物をしてしまう。
- 眠れない、食欲がない、腹痛や頭痛がある(医療機関では原因不明)。
ある意味では全て個人の悩みとも言える。
人間関係にしろ状況にしろ悩んでいるのは個人の問題だ。
切り口が違うだけだ。
悩みが複雑に絡み合っている場合もある。その方が多い。
カウンセリングではそれを解きほぐす作業をしているとも言える。
例に挙げた状態も、その程度の差こそあれ、誰しも悩んだり苦しんだりしたことがあるのではないだろうか。
誰でもあることだから、カウンセリングを受けるまでもないことなのではないかと思う必要はない。
動機さえあれば誰でもカウンセリングは受けてもいいのだ。