悩む力
「悩み」の存在は、ネガティブなものという認識をどの人も共通に持っていると思う。
いや、「悩み」があるからこそ頑張れる、人生には必要不可欠だと言う人もいる。
今回は「悩み」が良いものか悪いものかという点についてではなく、「悩み」に対しての向き合い方を考えたいと思う。
まず「悩み」とは
辞書で引くと、思いわずらうこと。心の苦しみ。という定義がされている。
精神的に苦痛・負担を感ずること。というのもあった。
悩みがある状態・精神的に苦しい状態から脱却したい。
言い方を変えれば、苦しくない状態にしたい。なりたい。
大抵はそう思う(例外もあるが)。
カウンセリングに来る人の多くも、悩みを抱えて、それをなんとかしたいと思ってやってくる。
そして人は苦しみの度合いは違えど、様々な悩みを日々抱えながら生きている。
悩みなど何もない、諸行無常だと心の底から言える人は、悟りを開いている人くらいだと思う。
「悩んでもしょうがない」という人もいる。
しかし、これは悩みがないというわけではない。
悩みはあるが、それに捕らわれていても何も変わらないから、切り替えていこう的なニュアンスだ。
ちなみに、悩みを相談した時に、相手に「悩んでもしょうがないよ」と言われて、スッキリする人はあまりいないと思う。
確かに「悩んでもしょうがない」のかもしれないけれど、そう思えないから悩んでいる。
わかってもらえない感じだけ残って、もうこの人には相談しないでおこうと思ってしまうこともある。
だから「悩んでもしょうがないよ」「考えすぎだよ」「気にするな」は、あまり共感的な返答ではない。
(悩んでいる人の状態や、性格、お互いの関係性、その悩みの種、によっては有効かもしれないが)
話が逸れたが、とにかくよほど達観した人でない限り、悩みはつきものである。
この苦しい状態にどう向き合えば良いのか。
また悩み抱えた人にどんなことができるのか。
そこで僕が大切だと思うのが、悩む力をつけることだ。
悩み続ける力、とも言い換えられる。
悩む、つまり苦しい状態でありながら、それでも葛藤したり考えたりし続ける力だ。
悩みを抱える=苦しみに耐える力がないと、行動化したり、別の物で補ったり、他者に押し付けたりする。
悩むべき課題を無視し、楽な方へと向かっていく。
近頃、悩めない人が多い印象を僕は感じている。
悩むことは苦しい。
しかし悩みは常に存在する。
ならば悩みと付き合っていく力をつけていかなければならないと思う。
具体的にどうすればいいということではない。
とにかく悩むしかない。
とは言え悩み方もある。
どうにもならない悩みに対して「もうダメだ」「おしまいだ」とひたすら思っていても向き合っているとは言えない。
悩みを解決はできないけれど、「なぜ自分はこの事に悩んでいるのだろう」「何が自分を悩ませているのだろう」と、どんどん積極的に悩んでいくことが大事だ。
しかし、悩むことに慣れていない人もいる。
そういう時は誰かに相談して悩むヒントをもらうといい。
できれば上手に悩める人に。
先の「悩んでもしょうがない」という人は、悩むことが苦手かもしれない。
僕のカウンセリングは一緒に悩み続けること、と言えるかもしれない。
そして少しずつ悩む力がついてこれば、それはそのまま生きる力になるのではないかと思う。
(あくまで僕の印象だが)悩めない人が増えている傾向に、危機感を抱いている。
それについてもまた考えていこうと思う。